ナンパの世界にフルボッキ
サトシはナンパブログを読み漁っていた
・街で声をかけた子を即日でセックス
・ナンパで童貞卒業
・コミュ力の改善
・男としての自信
こんな世界があるんや！ すげえ！
AVの世界やんけ これ
ナンパってもっと金髪のチャラい人がやるもんかと思ってた
清潔感のある人が、無視されても無視されても声をかけ続けていく
意外と硬派なもんなんだな！ ほえ！
それまで「ナンパ＝チャラい」というイメージしか持っていなかった自分の価値観は変わっていった
読めば読むほどナンパの世界に魅力を感じてくる
あーすごい
すげー・・・
すげーよ・・・
んああああああん！！
フルボッキ！！
んもういてもたってもいれらない！！
俺もナンパするんや！！
1人街へ繰り出す
自分なりに最大限のおしゃれをして自転車もりこぎして栄に繰り出した
（麦わら帽子かぶってたけど今思うとダサかった）
俺は今日ナンパするんや！
うをぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお！！
フルボッキすぎてズボンが破れる勢い
↑こんな感じ
20:00頃
帰り人ばかりでその日も終わりそうだった
道ゆく人を眺めて、自分をいきり立たせる
ナンパする！ナンパする！
おりゃ！
・・・・
おりゃ！
・・・・
ん
声かけれない
恥ずかしい 緊張する
地蔵ってやつだ
いや、この自分がナンパするってまじ？
てや！
そい！
結局栄を２時間彷徨うことに
女の子のケツを追っかけては何もせず引き返し、追っかけては何もせず引き返しを繰り返す
・・・無理だ
自分にナンパは無理
いや無理なのだ
俺がナンパするなんてそもそもがおかしい
やっぱチャラい人がやるもんなのだ
自分とは住む世界が違う
・・・帰ってしまおう
自転車の元へ
チャリンコにまたがる
・・・
・・・
いやいやだめだめだめだめ！
なんだったんやこの２時間は
これで帰ったら全く価値のないじゃねーか
こんなところでへこたれる俺でいいんか？
いやダメダメ 絶対ダメ
ダメ！ゼッタイ！
やると言ったらやる！
根性論！
再び挑戦
チャリに乗ったまま女の子を探すことに
人がだいぶ減ってきた
もう女の子おらへん
・・・・・
・・・・・
いない
おばさんしかいない
・・・うんやっぱり今日はだめだ
ここもう１往復したら帰ろう
（内心もう早く帰りたい 頼むから女の子いないでくれ心境）
ゆっくりチャリを漕ぐ
・・・・
・・・・おった
やべえ女の子がいる しかも結構美人
見つけてしまった
本当に声かけるんか
（一瞬気づかないフリしてスルー）
いや今気づかないフリしたな俺
女の子いたよな
人生でこれほど美人を見つけたことに後悔した瞬間はなかった
声かけなかん・・・
いやこのまま気づかないフリしてようか
気づいてしまおうか 嗚呼
心拍数が上がる・・・
・・・こんな人生でいいんか俺！！！
ええいままよ！！！
自転車をクルッと引き返す
チャリを引きながら走る
水風呂へ飛び込む心地
やれ！やれ！
やれえ！
5m前
足がすくんでくる
震えてくる
力が抜けてくる
ここでも迷う
本当にいくん？俺がナンパなんてするんか？
それでも進む
3m前
伝えることは決めた
「すごい綺麗だなとおもって・・・」
とりあえずこれでいく
心臓の位置がはっきり分かるくらいどっくんどっくんいってる
あーいくのか・・・いくのか・・・
と
チラッ
女の子が後ろを向いた
気づかれた
あー気づかれた
いくしかない 終わった
スプラッシュマウンテンの落下寸前の心地
ザー
・・・思い切る！
隣まで追いついて
「す、すいませぇ〜ん」
「？」
「あのぉ、あまりにタイプだなって思って声かけてしまいましたぁ（ニヤニヤ）」
「あーありがとうございます笑（品のある笑顔）」
「あのぉ、よかったらぁ、ちょっとぉ〜 食事でもどうですかぁ？（なよなよ）」
「私、家で子供がまってるので（堂々とした受け答え）」
「あ、そうなんですね、子供ですか！ ありがとうございました（虫の息）」
話しかけた
チャリに乗り、逃げるように走り去る
・・・・
・・・・
ナンパした感覚
うをおナンパしたー！！
なんだこの感覚
ついに自分がナンパをしてしまったという感覚
達成感と罪悪感と開放感がよくわからないように絡み合った感覚
今まで感じたことのないよくわからない感覚
素直に喜んでいいのかわからない でもテンションは上がっていた
言葉はたったの３言
でも自分にとって大きな意味を持つ３言だった （アポロのやつ）
今思えば、チャリ引きながら声かけるってちょっと斬新だったなと
声めちゃ震えてたなと
「食事でも？」ってキモかったなと笑
こんな声かけでもガンシカしなかったあの美女には本当に感謝です
もう顔は覚えてない
でもおしゃれだったし、ナンパ慣れした受け答えだった
スト高だったなあ
これにてナンパ童貞を卒業したのでした
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